6.2 熱力学第二法則


熱力学の基本となる3つの法則のうちの2つ目、熱力学第二法則にはさまざまな表現があり、教科書によって色々な説明がされる。代表的な例を下に挙げた。

クラウジウスの原理

ある温度の物体から、熱を高温の物体へ、何の影響も遺さず移すことはできない
→熱は温度の高い方から低い方に流れる

クラウジウスの不等式

前節で出てきた$$\Delta S\geq \frac{q}{T}$$もしくはこの後の熱機関のところで出てくる$$\sum_n \frac{q_i}{T_i} \leq 0$$はクラウジウスの不等式と呼ばれる。

エントロピー増大則

孤立系・断熱系において自発的な変化が生じた場合、系のエントロピーは増大する。

オストワルドの原理

第二種永久機関を作ることはできない
・第1種永久機関:エネルギー保存(熱力学第1法則)に反した永久機関
・第2種永久機関:エネルギー保存の法則を破らない永久機関=熱効率100%の熱機関
・熱機関:高温の熱源と低温の熱源を使って熱を仕事に帰る働きを周期的に行う装置

トムソンの原理(ウィリアム・トムソン=ケルヴィン卿)

熱源から得た熱をすべて(100%)仕事に変えるような熱機関は存在しない

どの原理も、表現は違うものの根本的には同じことをいっている。先に出てきた\Delta S\geq \frac{q}{T} という式も、熱力学第二法則の一つの表現である。高校の教科書だと熱機関についての話で説明がされただろうか。熱機関とは、高温の熱源から熱を取り入れて低温の熱源に放出させる過程で熱を仕事に変える働きを周期的に行う装置である。次項では、熱機関の中でも理論上最も効率が高いサイクルであるカルノーサイクルについて述べる。