3.1 気体を特徴づける物理量


この講義の後半は熱力学の基礎を取り扱う。熱力学にはいる前に今一度、気体の振る舞いについて、理想気体の状態方程式の復習をしてから、実在気体など、高校で扱わない気体の話題に触れることにする。

気体を特徴づける物理量

気体の法則を扱う際、主な物理量として出てくるのは圧力と体積、物質量と温度である。
これらの物理量は通常、P(圧力)とV(体積)、n(物質量)、T(温度)の記号であらわされる。

SIによる圧力の単位はPa、パスカルである。1 Pa は 1 m2 あたり 1 N の力が掛かっている時の圧力となる。100 g の物体から地上で受ける力が 0.98 N だったことを思い出すと、これを 1 m2 で平均したくらいの力ということになる。大気圧はだいたい 100 kPa = 105 Pa なので、 1 m2 あたり10トン(104 kg)、1 cm2あたり 1 kg の力が掛かっていることになる。

ちなみに身近なものだと自動車のタイヤの空気圧が 200 kPa (2気圧)、トラックのタイヤの空気圧で 600~800 kPa (6~8気圧)、家庭用のLPガスボンベ*1都市ガスが来ているところに住んでいてLPガスのボンベを見たことない方は、夜店の屋台のガスコンロに接続されているガスボンベなら見たことあるでしょうか?が 800 kPa (8気圧)程度なのだそうだ。わりと物々しい鉄の塊に見えるLPガスボンベとトラックのタイヤの空気圧が同程度というのはちょっと意外かもしれない*2上記例は室温程度の温度の話。たとえばプロパンガスボンベが60℃の環境下にあると内圧は20気圧に達する。。ところが見かけによらず、トラックのタイヤでも破裂による死亡事故が時々起きているので、高圧ガスというのは身近な危険の1つともいえるかもしれない。

動画サイトにもタイヤの破裂の動画は結構載っている。たとえば…

破裂と同時にマネキンが一瞬で飛んで行ってしまうのが分かる。

もっと圧力が高い気体も身近で使っている。たとえばエアコンから伸びている銅の管の内部は 1.5 MPa (15気圧)ある。スーパーなどによく置いてある緑色の炭酸ガスボンベになると 6.3 MPa (63気圧, 25℃)ある。さらに、大学の実験室によく置いてある窒素やアルゴン、ヘリウムなどのガスボンベになると 15 MPa (150気圧)もあり、トラックのタイヤの10倍以上という高い圧力となる*3ちなみにスキューバダイビングの空気ボンベはもっと圧力が高くて200気圧ある。。事故が起きると非常に危険なので、注意して取り扱わないといけない。

その他の圧力の単位(非SI単位)

その他、圧力の単位としてパスカル以外にときどき出てくるものとしては、気圧(atm)、bar、torr、mmHg、psiなどあり、海外製品(特に米国製)などでは圧力としてPa以外の単位が使われていることも多い。

1 atm 気圧 = 101325 Pa(標準大気圧)
1 bar バール = 105 Pa (圧力のcgs単位)
1 Torr トル = (101325/760) Pa ≈ 133.3 Pa (トリチェリの実験に基づく(760mmを基準))
1 mmHg 水銀柱ミリメートル= 13.5951×980.665×10−2 Pa ≈ 133.3 Pa 水銀柱を基準
↑水銀密度 ↑重力加速度,Torrとは2×10-7以内の違い
1 psi = 6.895 kPa (重量ポンド毎平方インチ, pound-force per square inch)

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1. 都市ガスが来ているところに住んでいてLPガスのボンベを見たことない方は、夜店の屋台のガスコンロに接続されているガスボンベなら見たことあるでしょうか?
2. 上記例は室温程度の温度の話。たとえばプロパンガスボンベが60℃の環境下にあると内圧は20気圧に達する。
3. ちなみにスキューバダイビングの空気ボンベはもっと圧力が高くて200気圧ある。