化学結合など、分子内の電子の状態を考える時は、分子内の電子についてのハミルトニアンを考えて、波動関数とエネルギーを考えていくことになる。このときの波動関数も、厳密に解けるわけではないので、何らかの近似を使って考えていく必要があり、いくつかの近似方法がある。
たとえば、結晶については、無限に大きな空間に原子が無限に並んでいるような状況を考えることがある。この場合、原子は周期的に並んでいるので、波動関数も周期関数であるを大量に使えば表すことができると考える*1のように。…は周期関数sin、cosを使ってだったことも思い出して…。。このような近似は平面波基底とよばれ、固体物理学などでよく使われる。
一方、分子内の電子の波動関数を、分子を構成する多数の原子の原子軌道(Atomic Orbital)の足し合わせ(線形結合, Linear Combination)であると考えた近似をすることもできる。このときの分子の波動関数(分子内の電子の波動関数)は
$$\Psi_{MO}=c_1 \phi_{AO1}+c_2 \phi_{AO2}+…\tag{2.3.1}$$
といったふうに書くことができるだろう。ここでは分子を構成する原子についての波動関数、はそれらを組み合わせて足し合わせるための係数である。このような近似方法はLCAO法 (Linear Combination of Atomic Orbitals)と呼ばれる。また、こうしてできた分子の波動関数は分子軌道(Molecular Orbital)と呼ばれる。化学では個々の原子同士の結合を考えることもあり、こちらの表し方を使用して分子軌道に電子が詰まっていくと考えることが多い。
↑1 | のように。…は周期関数sin、cosを使ってだったことも思い出して…。 |
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